日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺癌の腫瘍マーカーとしての酸性フォスファターゼ
斉藤 泰
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1991 年 82 巻 11 号 p. 1723-1731

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抄録

酸性フォスファターゼは, 前立腺癌の腫瘍マーカーとして測定されるようになり, 治療に対する反応, 診断などで重要な役割を果してきたが, 癌の発見にはそれ程価値を認められなかった. 前立腺からの酸性フォスファターゼの精製, 基質に対する特異性, 各種薬品による酵素活性の阻害実験などから, 前立腺酸性フォスファターゼに特異的に反応する基質と, 阻害剤を用いることによって, 感度や特異性も高まったが, より特異性の高い方法として, 免疫学的測定法が登場してきた. 免疫学的方法により, 測定感度や特異性が高くなったが, 前立腺癌のスクリーニングにおける価値は低い. 免疫組織化学をモノクローナル抗体を用いて行い, 染色の程度は組織学的分化度と相関し, 予後とも相関する報告も出てきた.

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