日本泌尿器科学会雑誌
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無症候性顕微鏡的血尿症例に対する膀胱鏡検査の意義
服部 良平松浦 治竹内 宣久橋本 純一大島 伸一小野 佳成山田 伸絹川 常郎三宅 弘治
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1991 年 82 巻 5 号 p. 810-815

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抄録

無症候性顕微鏡的血尿症例では40歳以上に悪性腫瘍を含むより多くの泌尿器科的疾患が発見されたことを既に報告したが, このことを踏まえ, 昭和62年1月より昭和63年12月までに40歳以上で無症候性顕微鏡的血尿を主訴に受診した422例 (男122例女300例平均55.7±9.6歳, 以下A群) に対しては原則として全例に尿一般検査, 尿細胞診, KUB, IVP, 腹部エコーに加え膀胱鏡を行った. それに対し昭和59年1月より昭和60年12月までに40歳以上で無症候性顕微鏡的血尿を主訴とした266例 (男92例, 女174例, 平均53.8±9.1歳, 以下B群) に対しては一定の基準で検査を行なわなかった. B群では, 266例中108例 (40.6%) に膀胱鏡を施行し, 1例 (0.4%) の膀胱腫瘍 (45歳) が発見された. A群では膀胱鏡を368例中321例 (87.2%) に施行し, 10例 (2.4%) の膀胱腫瘍 (43~79歳平均56.1±12.1歳) が発見された. 特にA群のうち男性に限ってみると112例中7例 (5.7%) の高率に膀胱腫瘍が発見された. 次いでA群の膀胱腫瘍例で尿細胞診との関係をみると膀胱腫瘍の発見された10例のうち5例 (50%) は尿細胞診が陰性だった. また10例中IVPで異常所見を認めた例は1例 (10%) のみであった. 以上より40歳以上の無症候性顕微鏡的血尿症例に対して40歳以上の無症候性顕微鏡的血尿症例には膀胱鏡検査は必須とすべきと考えられた.

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