日本泌尿器科学会雑誌
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ESWLによる組織損傷のマーカーとしてのS100a0 protein, creatine kinase isozymes の有用性について
長谷川 総一郎加藤 兼房高士 宗久朱 遠源横井 圭介小林 弘明安藤 正小幡 浩司近藤 厚生三宅 弘治
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1991 年 82 巻 8 号 p. 1250-1255

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抄録

尿路結石に対するESWLによる腎組織損傷の有無について明らかにする目的で, 腎結石21例, 尿管結石18例で, ESWL前, 直後, 2時間後, 24時間後における血清中及び尿中S100a0 protein, creatine kinase isozymes (CK-B and CK-M) 濃度の測定をそれぞれ行った. ESWL前と比較して, 以下の時点で結果の有意な増加を認めた. (1)S100a0 protein: 腎結石群; 血清中の直後, 2時間後, 24時間後及び尿中の直後, 2時間後. 尿道結石群; 血清中の2時間後, 24時間後及び尿中の直後, 2時間後. (2) CK-B: 腎結石群; 血清中の直後, 2時間後及び尿中の直後, 2時間後, 24時間後. 尿管結石群; 血清中の直後及び尿中の直後, 2時間後, 24時間後. (3) CK-M: 腎結石群; 血清中の2時間後, 24時間後及び尿中の直後, 2時間後. 尿管結石群; 血清中の24時間後及び尿中の直後, 2時間後, 24時間後. S100a0 protein は骨格筋・心筋・腎近位尿細管に, CK-Bは脳神経・平滑筋・腎組織に, CK-Mは骨格筋・心筋にそれぞれ比較的高濃度で存在する. 腎組織内に低濃度で存在するCK-Mにおいて, 術後血中及び尿中濃度の増加が見られたことより, ESWLによる骨格筋損傷発生の可能性が示唆された. S100a0 protein 及びCK-Bにおいても術後血清及び尿中濃度の増加が見られたが, 腎結石群と尿管結石群で各時点において有意差が見られなかったことより, ESWLによる骨格筋・平滑筋・腎組織等の損傷発生の可能性が示唆された.

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