日本泌尿器科学会雑誌
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腹腔鏡下腎摘除術
動物実験及び臨床的応用
東原 英二亀山 周二田中 良典堀江 重郎佐山 孝狩野 宗英朝蔭 裕之奴田原 紀久雄本間 之夫簑和田 滋阿曽 佳郎
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キーワード: 腹腔鏡下手術, 腎摘除術
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1992 年 83 巻 3 号 p. 395-400

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抄録

腹腔鏡による腎摘除術を臨床的に行うことを目的として, 雌豚6匹を用いて, その手技と器具の検討を行った. その結果, (1) 後腹膜腔からのアプローチは困難である. (2) トロカールは1cm径のものが4~5本必要であり, 各トロカール間の距離は最低5cm離す必要がある. (3) 腎茎部へのアプローチは, 腎周囲の腹膜を切開した後, 尿管の結紮・切断を行い, 尿管内側に沿って剥離を行う. (4) 鉗子類は開創手術においては使用する器具に対応するものは原則として全て必要であり, それを内視鏡的に使用できる様にする必要がある. (5) その他に, 結紮用器具, 摘除した腎を体腔外に取り出す為の工夫などが特殊に必要であることが判った. 以上の経験に基づき臨床応用を行った.
臨床例は, 34歳男性で右の先天性腎盂尿管移行部狭窄による無機能腎であった. 4本の外径1cmと1本の0.5cm径のトロカールを用いて腎摘除を行った. 腎周囲の脂肪組織が豊富なこと, 拡張した腎盂が大きかったこと, 安全を期して手術を行ったこと, などの為に手術時間は7時間を要したが, 出血量は110mlで腎を摘除しえた.
本術式は, 適応を十分に検討すれば器具と手技の改良により, 一般化しうる術式であると考えられた.

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