日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
膀胱小細胞癌の1例
鈴木 正泰黒田 淳中内 憲二町田 豊平
著者情報
キーワード: 膀胱, 小細胞癌
ジャーナル フリー

1992 年 83 巻 3 号 p. 409-412

詳細
抄録

57歳の男性が, 持続する強度の腰痛, 肉眼的血尿を認め当科受診した. 直腸診で膀胱に一致して超手拳大の軟部組織様腫瘤を触知し, 膀胱鏡で膀胱内腔を占める非乳頭状の腫瘍を認めた. 腫瘍マーカーは, CEA, IAP, TPA, CA19-9, NSEが異常高値を示した. 骨盤部CTで膀胱前壁より生ずる大きな polypoid tumor を認めた. 胸部X線写真, 頭頚部, 胸部, 腹部CTで異常を見られなかったが, 骨シンチで全身骨に異常集積を認めたため, 根治的治療を諦め, 経尿道的生検を施行した. 病理組織所見では, 比較的均一な円形細胞のシート状充実性の増殖が見られ, Grimelius 染色陰性, 抗NSE染色および抗NF染色陽性であった. 以上より, 内分泌細胞癌の特徴を有するいわゆる小細胞癌で, 膀胱原発と思われた. 全身状態が安定せず, 積極的治療ができないまま死亡した.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事
feedback
Top