日本泌尿器科学会雑誌
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腎盂尿管腫瘍と膀胱腫瘍の併発症例に関する臨床的検討
上條 利幸本間 之夫簑和田 滋東原 英二阿曽 佳郎
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キーワード: 腎盂尿管腫瘍, 膀胱腫瘍
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1993 年 84 巻 11 号 p. 2003-2007

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抄録

1975年1月より1991年12月までに当科にて手術を施行した腎盂尿管腫瘍65例中膀胱腫瘍を併発したものは26例であった. これを対象として膀胱腫瘍の発見された時期により, 膀胱先行群, 同時群, 膀胱続発群の3群に分類し検討した.
膀胱先行群は9例で, 先行期間は3~42ヵ月 (平均14.6ヵ月) であり, そのうち7例は腎盂尿管腫瘍術後も膀胱腫瘍が再発した. 術後の膀胱腫瘍再発見までの期間は3~29ヵ月 (平均9.0ヵ月) であり, 膀胱腫瘍発見から腎盂尿管腫瘍発見までの期間と高い相関がみられた (r=0.948).
同時群は7例で, 他群と比べ high grade, high stage 症例が多く, 生存率も有意に低値であった (p<0.01).
膀胱続発群は10例で, 膀胱腫瘍再発見までの期間は6~37ヵ月 (平均15.0ヵ月) であり, 膀胱先行群の膀胱腫瘍再発見までの期間と比べると有意に長かった (p<0.01).
以上の結果より, 腎盂尿管腫瘍に併発する膀胱腫瘍は, その併発時期により異なる特徴を有することが示された.

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