1995 年 86 巻 10 号 p. 1520-1524
(背景と目的) 膀胱尿管逆流症 (VUR) を有する神経因性膀胱 (NGB) 患者にとって腎機能低下は生命予後を脅かすものである. これらの患者に逆流防止術は効果的との報告はあったが, 清浄間欠自己導尿 (CIC) 自体の有効性に関してはまだ明らかではない.
(対象と方法) 膀胱尿管逆流症 (VUR) を有する神経因性膀胱患者16名を清浄間欠自己導尿 (CIC) にて治療した. 原疾患は二分脊椎8名, 子宮癌術後3名, 5名は脊髄損傷・脊椎カリエス・麻疹性脳症, 2名は不明であった. 11名に hyperactive bladder を認め, 3名に hypoactive bladder を認めた. 残り3名では評価できていない.
(結果) VUR grade III 未満の3名 (3尿管) でVURは消失した. 9名 (13尿管) で逆流防止術を施行した. 3名では膀胱拡大術を必要としたものの, 逆流防止術の成功率は84で6%であった.
(結論)VURを有する神経因性膀胱患者に対してVURのコントロールはCICのみでは困難である. しかしながら, 外科的治療を併用後のVUR管理においては, CICはすぐれた手技といえる.