1995 年 86 巻 2 号 p. 325-332
1984~1986年の日赤医療センターの淋菌分離株85株について, 栄養要求型と Knapp のモノクロナール抗体法による血清型を検討した. 栄養要求型は Proto, Pro, Arg, PAUの4型が検出され, Proto型33例, Pro型33例, Arg型10例, PAU型9例で, AHU型は0例であった. 血清型はIA, IB群に分けた. 各群に対し, ペニシリン系, セフェム系, スペクチノマイシン, テトラサイクリン, ニューキノロン系など計22剤の化学療法剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を検討した.
ニューキノロン剤ではPro型がProto型より低いMIC値を示したが, 多くの薬剤で Arg, PAU, Proto, Pro の順にMIC値は高くなった.
また, 血清型はIA群が5例と少数であったが, 全体に各種薬剤でIB群よりも低いMIC値を示した.
以上より, これまでアジア型でペニシリンに抵抗性を示すと報告されていたProto, Pro型が他の薬剤に対しても抵抗性を示すことが判明した. また欧米型とされていたArg, PAU型が本邦分離菌でも各々12, 11%と認められた.