日本泌尿器科学会雑誌
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無症候性顕微鏡的血尿に対する7日間連続早朝尿自己判定法の検討
鴨井 和実寺崎 豊博小島 宗門納谷 佳男渡辺 泱
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キーワード: 顕微鏡的血尿, 試験紙
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1996 年 87 巻 7 号 p. 992-996

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抄録

(背景と目的) 糸球体性腎疾患の存在が疑われる無症候性顕微鏡的血尿患者について, 血尿および蛋白尿の頻度から糸球体性腎疾患の有無を予測することを目的とした.
(対象と方法) 無症候性顕微鏡的血尿患者のうち, 泌尿器科学的疾患を有する症例を除外した55例を対象とした. 血尿 (蛋白尿) は, 試験紙で1+以上と判定されたものを陽性とし, -もしくは±と判定されたものを陰性とした. 自己判定の結果にもとづいて, その頻度から血尿 (蛋白尿) を3つの型に分類した. すなわち持続性血尿 (蛋白尿) は7日間続けて血尿 (蛋白尿) が陽性であったもの, 散発性血尿 (蛋白尿) は血尿 (蛋白尿) が7日間のうちに1+以上の日と±以下の日があったもの, 偶発性血尿 (蛋白尿) は7日間続けて血尿 (蛋白尿) が陰性であったものとした (7日間連続早朝尿自己判定法). 以上の結果と, 腎生検組織からみた糸球体性腎疾患の有無とを比較検討した.
(結果) 検尿の自己判定は55例中53例 (96%) において1回目の施行で評価可能であった. これら55例のうち, 持続性血尿は32例 (58%), 散発性血尿は14例 (26%), 偶発性血尿は9例 (16%) であった. 糸球体性腎疾患の検出率は, 持続性血尿群 (81%, p<0.0001) と散発性血尿群 (71%, p<0.01) において, 偶発性血尿群 (0%) より高値であった.
(結論) 以上のことから偶発性血尿を示す症例では, 糸球体性腎疾患が存在する可能性は非常に低いと考えられた.

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