(目的) 単一施設で治療した新鮮前立腺癌の臨床結果を解析すること.
(対象と方法) 対象症例は142例で, その年齢中央値は72歳であった. 血尿を主訴しした12例中5例は尿路上皮癌の同時発生例であった.
(結果) 52例 (37%) に前立腺全摘除術を行い, その stage 別5年生存率はBが85%, Cが86%, D1が87%であった. Stage D2の初回治療としてホルモン単独療法を33例に, ホルモン・制癌剤併用療法を37例に行った. その中でホルモン・cyclophosphamide 併用療法 (18例) が有効率 (83%), 有効持続期間 (中央値29ヵ月) および生存期間 (中央値49ヵ月) において優れていた. 治療前PSA値は stage と相関し, 30ng/mlを cut off 値とすると, 転移がある場合の sensitivity は64%, specifisity は95%であった. 142例の3, 5, 10年生存率は67%, 51%, 26%で, stage 別および分化度別5年生存率はA37%, B90%, C40%, D42%, 高分化型73%, 中分化型45%, 低分化型42%で, stage Bは他の stage より, 高分化型は低分化型よりも明らかに予後良好であった. (p<0.01)
(結論) 病理学的病期 stage CとD1の前立腺全摘症例に術後補助療法としてホルモン・放射線併用療法を行うことで, その5年生存率は86%, 87%となった. Stage D2症例に対する最も効果的な治療はホルモン・cyclophosphamide 併用療法であり, その有効率と有効持続期間中央値は83%と29ヵ月であった.
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