日本泌尿器科学会雑誌
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尿路結石症における男女差に関する検討
森川 満奥山 光彦吉原 秀樹山口 聡八竹 直
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1998 年 89 巻 5 号 p. 538-545

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抄録

(目的) 尿路結石症は男性有意な疾患と考えられている. 最近の本邦統計では男女比2.3:1と報告されているが, この男女比の値は1960年からほぼ一定である. 男性と女性における結石発生頻度の違いが, どのような要因によるものかを年齢および結石成分をふまえ統計学的に検討した.
(対象と方法) 1977年から1996年まで, われわれの施設で自然排石もしくは手術的に摘出した結石のうち, 成分分析を施行した606例を検討対象とした. 結石分析は赤外線分光分析により行った. 統計学的検討はx2検定と Mann-Whitney's U test により行い, p値<0.05を有意差ありと判定した.
(結果) 今回検討した全患者の統計学的検討では男女比1.83:1であった. 年齢別に男女差を検討した結果, 60歳以上の男女比は60歳未満の男女比より低値であり60歳を超えると男女差が減少する傾向を認めた. 結石成分別年齢分布および年齢別性別結石成分別頻度を検討した結果, 60歳未満の女性ではシュウ酸カルシウム含有結石の頻度が男性より有意に少なかった. また60歳以上の女性の結石成分比は男性の結石成分比と有意差が認められなかった.
(結論) 60歳を超えると結石発生頻度の男女差は減少しており, 60歳未満の女性でシュウ酸カルシウム含有結石の発生頻度が有意に少ないことが, 男女間の結石発生頻度の違いの一つの要因と考えられた.

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