日本泌尿器科学会雑誌
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伊勢崎市における1997年度前立腺検診の結果について
小林 幹男竹沢 豊中田 誠司井上 雅晴栗原 寛近藤 忠徳古作 望松本 和久中里 晴樹山中 英寿
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キーワード: 前立腺癌, PSA, 集団検診
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2000 年 91 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

(目的) 群馬県伊勢崎市の基本住民検診に1997年度よりPSAが検査項目に入りPSA単独の前立腺癌検診が始まった. PSA検診の普及が予想される為, 検診の結果と, 今後前立腺癌検診を如何に進めるべきか考察を行った.
(対象と方法) 基本住民検診を受診した40~64歳までの男性1,423人中の1,382人である. PSAが4.1ng/ml以上の数値 (TandemR測定キット) を要精密検査値とし2次検診の対象とした. 2次検診の対象者は38人で, 受診者は24人であった. 2次検診受診者は全例PSAが再検され, 23人に直腸診及び経直腸エコーの両者又はその一方が施行された. 3次検診は対象者, 受診者ともに16人で, 全例に前立腺生検が行われた.
(結果) 50~59歳で1人, 60~64歳で6人に癌が診断され, PSAが4.1~10ng/mlまでの20人中の4人に, 20ng/ml以上の3人全員に癌が診断された.
PSAが4.1~10ng/mlでT2N0M0の4例と20.1ng/ml以上でT3N0M0の1例に, 前立腺全摘が行われた.
40歳~64歳までのPSA検診で, 7人 (0.51%) の前立腺癌が診断され, T2N0M0 (57.1%) の4人に根治的手術が行われ, 全で早期癌であった.
(結論) PSA検診が他の前立腺検診と同様に早期癌を診断出来る事は推測されるが, PSA検診による癌の発見が予後に貢献するか否かは今後の課題であり, 大規模なPSA検診が結果を導くものと思われる.
今後は, 対象を手術適応年齢の69歳までとし, 周辺地区へ拡大した検診を実施したい.

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