日本泌尿器科学会雑誌
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後腹膜鏡下ハンドアシストドナー腎摘出術
飯沼 昌宏佐藤 滋土谷 順彦下田 直威佐藤 一成羽渕 友則加藤 哲郎
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2002 年 93 巻 7 号 p. 721-726

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抄録

(目的) 我々は後腹膜鏡下ハンドアシストドナー腎摘出術 (以下RHAN) という新しい腎摘出法を考案したので, その術式ならびに短期成績を報告する.
(対象と方法) 当科で2001年7月から12月までにRHANを行った5例 (左4例, 右1例), を対象とした. 全身麻酔下にドナーを半側臥位とし, 気腹圧10mmHg以下で, 全ての手術操作を後腹膜腔内で行った. トロカーは3本使用し, ハンドアシストポートとして臍の高さで腹直筋外縁に8cmの皮膚切開をおき, LAP DISC™を装着した. 尿管は外腸骨動脈との交叉部まで剥離後, 末梢側にクリップし, 切断, 腎動脈は中枢側にクリップ, 腎静脈は Endo GIAで切断し, ハンドアシストポートより移植腎を体外へ搬出した.
(結果) 全例, 体腔鏡下に手術を完遂し, 輸血も不要であった. 手術時間は264~359分, 出血量は40~755ml, 温阻血時間は0.9~3.9分であった. RHANは開放手術と比較し, 手術時間が長く, 出血量と温阻血時間は同程度であった. RHAN症例の術後入院日数は7~9日で, 開放症例より短かった. 術後第7日のレシピエント血清クレアチニン値は0.9~2.7mg/dlで, 開放症例と差がなかった.
(結論) RHANは, 安全で侵襲が少なく, 移植腎機能も保持される有効な術式である.

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