日本泌尿器科学会雑誌
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胚細胞腫瘍晩期再発の1例
堀 淳一加藤 祐司北原 克教徳光 正行佐賀 祐司橋本 博金子 茂男八竹 直
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2004 年 95 巻 5 号 p. 729-732

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抄録

症例は19歳男性, 後腹膜腫瘍と肺, 肝転移あり, 生検により卵黄嚢腫瘍と診断され, 化学療法と後腹膜リンパ節郭清術を施行した. 郭清組織の病理所見は一部奇形腫を含んだが, 大部分壊死組織であった. その後脳転移をきたしたが, 放射線照射と追加の化学療法で完全寛解を得た. 2年後精巣に石灰化病変が見つかり, Burned-out testicular tumor を疑って高位精巣摘除術を施行した. 初発から10年後, CTで後腹膜に腫瘍が見つかり, 外科的切除術を施行, 病理組織型は腺癌であった. 精巣腫瘍の再発は2年以内におこることがほとんどだが, 2年以上たって再発してくる晩期再発, 特に本症例のように10年以上たっての再発例もまれに見られる. 一般に化学療法には強い抵抗性を示し, 外科的切除が第一選択となる.

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