2004 年 95 巻 6 号 p. 773-776
患者は72歳男性. 肉眼的血尿を主訴に当科を初診した. 既往歴として, 27歳のときに左腎結石に対して左腎摘出術を受けていた. 尿細胞診にて Class IIIb を四度繰り返した. 我々は入院下に膀胱内ランダム生検及び右側逆行性腎盂造影を行ったが, 明らかな出血点, 悪性所見を認めなかった. 2ヵ月後, 再び肉眼的血尿となり, 膀胱鏡にて残存する左尿管よりフィブリン塊の漏出を認めた. CTにて膀胱近傍に腫瘍塊を認め, 残存尿管腫瘍と診断し, 残存尿管摘出術を施行した. 病理学的診断は未分化癌であり, 残存尿管に発生した未分化癌の報告は本邦一例目であった.