日本泌尿器科学会雑誌
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密封小線源療法施行前内分泌療法による前立腺体積縮小効果
水野 隆一門間 哲雄長谷川 政徳小杉 道男大橋 俊夫戸矢 和仁萬 篤憲斉藤 史郎
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2006 年 97 巻 7 号 p. 835-838

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抄録

(目的) 前立腺癌に対するI-125密封小線源療法施行前の内分泌療法による前立腺体積の縮小率に関しての検討を行った.
(対象と方法) 当院において, 2003年9月より2005年3月の間にI-125密封小線源療法が施行された110例を対象とした. 前立腺癌診断時および密封小線源療法施行前の前立腺体積を経直腸的超音波検査により測定し, それぞれの前立腺縮小率 (縮小後の縮小前の体積に対する割合) を計算した. さらに前立腺縮小率と病理組織学的因子, 臨床因子との関連について検討した.
(結果) 抗アンドロゲン剤単独群では縮小率は平均83%, LHRHアゴニスト単独群では平均63%であり, LHRHアゴニストと抗アンドロゲン剤の併用群では平均60%であった. いずれも無治療群と比較すると縮小率に有意差が認められた. LHRHアゴニストを投与した53例において, Mann-Whitney U検定では前立腺縮小率と前立腺体積との間に有意な相関が認められた (p<0.0001). 単回帰分析においても前立腺縮小率と内分泌療法前の前立腺体積との間にのみ有意な相関が認められた (p=0.0016).
(結論) 小線源療法施行前の抗アンドロゲン剤単独投与の前立腺体積縮小のための手段としての有効性が示された. 前立腺体積の大きな症例ではLHRHアゴニストの単独投与あるいは抗アンドロゲン剤との併用によってより確実な前立腺体積の縮小が期待できると考えられた.

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