2007 年 98 巻 4 号 p. 589-594
(目的) 局所進行, 及び転移性尿路上皮癌に対し, M-VAC変法を施行し, その奏効率, 奏効期間および有害事象について retrospective に検討した.
(対象と方法) 1993年10月から2005年2月までに, M-VAC変法を施行した局所進行及び転移性尿路上皮癌患者28例のうち, 評価可能病変を有する25例を対象とした. M-VAC変法は, MTX 30mg/m2 (day 1), VLB 3mg/m2 (day 2), ADM 30mg/m2 (day 2), CDDP 70mg/m2 (day 2) の併用化学療法を3週毎に施行した.
(結果) M-VAC変法の治療回数は中央値3回で, 効果判定は25例中CR6例, PR 6例で, 奏効率は48%であった. 観察期間中央値65.6ヵ月で, 全生存期間中央値は9.3ヵ月, 1年及び2年全生存率はそれぞれ33.5%, 9.6%であった. 奏効症例の奏効期間中央値は6.0ヵ月であった. 有害事象は Grade 3/4の好中球減少が84.4%, Grade 3/4の血小板減少が40.0%, Grade 3/4のヘモグロビン減少が56.0%, 発熱性好中球減少が20.0%, Grade 3の悪心嘔吐が8.0%にみられた.
(結論) 今回のM-VAC変法療法の検討で, M-VAC療法と比較して奏効率は同等ながら, 奏効期間は短く, 有害事象の頻度も同等以上であった. 以上より, 今回施行したM-VAC変法の有用性は見出せなかった.