日本泌尿器科学会雑誌
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全国泌尿器科専門医教育施設への前立腺全摘除術の周術期管理に関するアンケート調査
岡村 菊夫副島 秀久斉藤 史郎寺井 章人奥村 和弘長井 辰哉上平 修川喜田 睦司津島 知靖野尻 佳克
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2007 年 98 巻 4 号 p. 595-603

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抄録

(目的) 日本泌尿器科学会教育施設において, 前立腺全摘除術の周術期管理がどのようになされているか報告されたことはなく, 現状を調査することは有意義であると考えられる.
(対象と方法) 全国1,213の泌尿器科専門医教育施設に対して, どのように周術期管理を設定しているかを問う郵送アンケート調査を実施した.
(結果) アンケートの回収率は60% (722/1,213) であり, そのうち657施設 (91%) で前立腺全摘除術を行っていると回答した. 入院は手術2日前, 歩行開始は第1術後日, 食事開始は第2術後日, 持続点滴終了とドレーン抜去は第3術後日, カテーテル抜去は第7術後日, 抗生剤点滴投与期間は3日間, 内服抗生剤投与期間は7日間, 術後退院日は第14術後日に設定しているとの回答がもっとも多かった. ドレーン抜去, カテーテル抜去, 抗生剤投与期間, 入院期間に関して, 病院間の差が著しかった.
(考察) 本邦における前立腺全摘除術の周術期管理は, 病院によって大きな差異が認められた. 良質な前立腺全摘除術周術期管理を全国で均質に提供するためには, (1) ドレーン抜去時期, (2) 抗生剤投与期間, (3) カテーテル抜去時期について一定のコンセンサスを得ることが重要である.

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