日本泌尿器科学会雑誌
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鏡視下に結腸合併切除を施行した大きな腎癌の1例
大きな腎腫瘍に対する鏡視下腎摘出術の適応の検討
三塚 浩二伊藤 明宏並木 俊一加藤 正典斉藤 誠一荒井 陽一
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2007 年 98 巻 4 号 p. 629-633

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抄録

症例は67歳男性. 高血圧の精査中に左腎腫瘍を指摘され当科紹介された. 左側腹部に可動性のある腫瘤を触れCTでは左腎下極に充実性で造影効果のある径11cmの腫瘤を認めた. リンパ節・肺転移は認めず骨シンチでも異常集積を認めなかった.
2006年1月26日全身麻酔下, 右側臥位にて腹腔鏡下に左腎摘出術を施行した. 腹直筋鞘外縁に12mmポートを置きさらに4本のポートを追加した. 腎前面で下行結腸外側の癒合筋膜を切開し頭側は胃の大彎外側まで切開を延長した. 腎下極では腫瘍と腸間膜との癒着が強く剥離不能と判断し, 外科に依頼して鏡視下に結腸部分切除を施行した. その後腎門部の血管を処理し尿管を切断し左腎を摘出した. 結腸の断端は創外で端々吻合した. 手術時間は420分, 出血量は約30mlであった. 病理所見はRCC (clear cell type) であり結腸・腸間膜への浸潤は認めなかった. 術後は1週間絶飲食としたが翌日から歩行可能であり術後14日目に退院した.
文献および当科の経験 (7cm以上の腎腫瘍に対する鏡視下手術) から大きな腎腫瘍に対する鏡視下手術の適応を考察した. 大きな腎腫瘍では特に安全性・根治性を大前提とした上で鏡視下手術の利点・問題点を十分検討し手術を行うべきである.

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