2008 年 99 巻 1 号 p. 1-6
(目的) 31例の腎盂尿管癌について臨床病理学的・免疫組織学的に予後と膀胱内再発予測因子について検討を行った.
(対象と方法) 男性が19名, 女性12名で, 年齢は43歳から84歳中央値は69歳であった. 観察期間の中央値は79ヵ月であった. 腎盂尿管癌組織を用いてp53, Ki-67, E-cadherin, β-catenin の免疫組織学的検討を行った.
(結果・結論) 31例の疾患特異的5年生存率は77.4%であった. 単変量解析では腫瘍数, 異型度, 浸潤様式, リンパ管侵襲が有意な予後因子であった. さらにそれらの因子についてCoxの比例ハザードモデルによる多変量解析を行うと腫瘍数とリンパ管侵襲が独立した予後予測因子であった. また31例の5年膀胱内非再発率は60.9%であった. 単変量解析では E-cadherin の発現のみが膀胱内非再発率へ影響を及ぼす有意な因子であった.