日本泌尿器科学会雑誌
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併存した水腎症により血清CA19-9が高値を示した腎細胞癌の一例
舟橋 康人上平 修萩倉 祥一春日井 震木村 恭祐深津 顕俊松浦 治
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キーワード: 腎細胞癌, CA19-9, 水腎症
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2008 年 99 巻 1 号 p. 39-42

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抄録

症例は58歳女性, 検診で左腎嚢胞を指摘され当科受診した. 腹部CTにて左腎の水腎を伴う20×12×11cm大の腫瘍を認めた. 血清CA19-9は4,400U/mlであった. 左腎盂尿細胞診は陰性であり, 術前に腫瘤が腎細胞癌か腎盂癌か確定できなかった. 根治的左腎摘除術時に迅速診断にて腎細胞癌と診断された. 免疫組織化学染色にてCA19-9は腎盂粘膜に限局しており腫瘍細胞には含まれなかった. 術後, CA19-9は正常域に下降した. CA19-9は尿路上皮癌で時に上昇することが知られているが腎細胞癌で上昇することは稀である. 自験例では腫瘍の閉塞による水腎症が原因で上昇したものと考えられた.

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