日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
副腎石灰化線維性偽腫瘍の1例
鍬田 知子稲留 彰人松本 賢士吉田 正貴上田 昭一
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 99 巻 1 号 p. 48-51

詳細
抄録

石灰化線維性偽腫瘍は通常は四肢, 体幹, 腋窩, 肋膜, 縦隔と腹膜の軟組織に発生する病理学的に特異な腫瘍である. 今回副腎石灰化線維性偽腫瘍の1例を経験したので報告する. 症例は29歳女性. 左腰痛を主訴に近医受診し, CTで左副腎腫瘍を指摘された. 採血上生化学・ホルモン学的に異常はなかったが, 尿中カテコールアミンではノルアドレナリンとドーパミンのみ高値を認めた. 画像上, 副腎癌や褐色細胞腫は否定できなかったが, 典型的な所見はなく, 副腎シンチ (I131アドステロール) でも有意な取り込みは認められなかった. 悪性の可能性を否定できず腹腔鏡下左副腎摘出術を行い, 病理学的に副腎石灰化線維性偽腫瘍と診断された. 副腎石灰化線維性偽腫瘍は, 我々が調べた限りでは海外の報告例も含め4例目で本邦1例目であると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事
feedback
Top