2010 年 31 巻 2 号 p. 67-76
眼底のマルチスペクトル画像を取得し,各波長成分の反射率画像を作成し,その情報から任意の照明光を想定し,その照明光の下での色の見えを予測するシミュレーションを行った。本論文では,照明光としてD65, D50, A光源の3種類の標準光源を想定し,分光画像からカラー眼底写真を合成し,均等色空間上に表現することを検討した。その結果,照明光の分光分布に応じて画像の色度が異なること,とくに光の長波長成分が増加することによって色度が黄方向(a*b*平面内でb*方向)に変化することがわかった。本研究では,眼底写真の最適な照明光条件を検討可能なことをシミュレーションにより示した。