視覚の科学
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原著
コントラスト感度と視力に影響するフレネル膜プリズムの最小度数
浅川 賢中山 奈々美川守田 拓志魚里 博
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2010 年 31 巻 4 号 p. 129-133

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抄録

目的:コントラスト感度と視力が低下するフレネル膜プリズムの最小度数を検討する。

方法:平均21.5歳の健常者19名を対象に,フレネル膜プリズムを基底内方に5~40⊿まで5⊿間隔で付加し,コントラスト感度と視力を測定した。コントラスト感度は1.5,3,6,12,18 cycles/degree(c/d)の空間周波数において対数値に換算,視力はlogMAR値に換算し,それぞれをプリズム付加前後にて比較した。

結果:1.5~18 c/dにおけるlogコントラスト感度はプリズム度数増加により低下し,有意差が認められた最小度数と対数値はそれぞれ35⊿で0.66,20⊿で0.69,15⊿で0.49,15⊿で0.34,10⊿で0.17となった。またlogMAR値は10⊿にて0.1(小数視力0.7)程度まで有意に低下する結果となった。

結論:10⊿の膜プリズム付加にて,高空間周波数のコントラスト感度と遠方視力の有意な低下を生じた。この解像力低下は多要因が複雑に関連しているものの,これらの特性を把握すれば,光学的補助具としてより有用となり得る。

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© 2010 日本眼光学学会
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