視覚の科学
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原著
新しい瞳孔視野指標の考案
衣川 龍前田 史篤田淵 昭雄岡田 美保子加藤 弘明山田 潤近藤 芳朗
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2013 年 34 巻 1 号 p. 10-19

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抄録

目的:瞳孔視野において個体間変動および個体内偏差を示す評価指標の考案を目的とした。

方法:健常若年者57名(平均年齢20.2±1.1歳)の両眼に対して対光反射を測定した。同一の光刺激を45,135,225,315度方向の偏心度0,5,10,15,20,25度の21箇所に提示し,全刺激部位で縮瞳率を算出した。個体間変動において要約縮瞳率を考案し,個体の代表的な反応の数量化を行った。個体内偏差において縮瞳率偏差を考案し,刺激部位における反応の凹凸の数量化を行った。

結果:縮瞳率は刺激部位が視野中心から偏心するにしたがい単調減少した。相関の分析により21箇所の刺激部位の縮瞳率,要約縮瞳率(左眼20.8±6.0%,右眼20.3±5.8%),縮瞳率偏差(左眼2.3±0.9,右眼2.3±0.7)において両眼間で対称性が示され,要約縮瞳率と縮瞳率偏差の間では独立的な関係性が示された。

結論:本研究では,瞳孔視野を従来の2倍以上の情報量で評価できる方法を考案し,眼科臨床の2次元的追跡評価につながると考えられる。

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© 2013 日本眼光学学会
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