視覚の科学
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原著
奥行き知覚における運動視差と大きさ手がかりの相互作用
玉田 靖明池邊 匠小澤 勇太佐藤 雅之
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2016 年 37 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

運動視差と大きさ手がかりによる奥行き手がかりの相互作用について検討するために, 運動視差, 大きさ手がかり, およびその両方によって知覚される奥行き量を測定した。刺激として, 320個の白色円盤を仮想的な3次元空間内のランダムな位置に呈示した。「運動視差のみ」の条件では, 被験者は左右に動きながら刺激を単眼で観察した。被験者の観察位置に応じてモニター上での円盤の位置を変化させた。「大きさ手がかりのみ」の条件では, 被験者は静止した状態で刺激を観察した。それぞれの円盤の距離に応じてモニター上での円盤の大きさを変化させた。「両方あり」の条件では二つの手がかりを同時に与えた。「運動視差のみ」と「大きさ手がかりのみ」の条件では大きな奥行きは知覚されなかったが, 「両方あり」の条件では, 理論値には至らなかったが, 比較的大きな奥行きが知覚された。これは, 運動視差と大きさ手がかりによる奥行き情報が, 非線形な様式で統合されていることを示唆している。

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© 2016 日本眼光学学会
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