視覚の科学
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総説
近視と脈絡膜
平岡 孝浩
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2023 年 44 巻 4 号 p. 76-82

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抄録

脈絡膜はぶどう膜の大部分を構成する血管層であり,眼総血流量の約9割が流入している。網膜外層に酸素や栄養を供給し老廃物を排出しているほか,眼圧や温度の調整も行っている。また,近視発症や進行における脈絡膜の役割が注目されており,OCTの開発・進化とともにエビデンスが次々と蓄積されている。

ヒトの脈絡膜は視覚的手がかりに対して敏感であり,その厚さを双方向に変動させる。そして,眼の局所的な成長調整において重要な役割を担っている。近視抑制治療においても,光暴露(屋外活動)やオルソケラトロジー,アトロピン点眼,多焦点コンタクトレンズ,特殊デザイン眼鏡,レッドライト治療において,有意な脈絡膜肥厚が確認されており,治療法によっては将来の治療効果を予測するバイオマーカーとなる可能性が示唆されている。

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© 2023 日本眼光学学会
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