近年,分子生物学的研究の進歩により多発性神経鞘腫 (SWN) にもSMARCB1などの腫瘍抑制遺伝子変異が同定され,SWNは神経線維腫症 (NF) 1,NF2とは異なる第3のNFと捉えられている。SWNはNF全体の1%以下とまれで,今後も症例の蓄積が重要と考え自験例を検討した。対象は2個以上の神経鞘腫を有する10例で男性6例,女性4例,初回手術時年齢は平均54.9歳であった。全例皮膚異常や家族歴はなく,難聴の1例はMRIで前庭神経腫瘍は否定された。1例あたりの腫瘍数は平均5.3個,最大径は平均25mmで過去の報告と類似していた。全腫瘍の70%を切除し,治療成績は良好で悪性末梢神経鞘腫瘍の合併もなかった。同じく神経鞘腫が多発するNF2とは臨床経過,生命予後が大きく異なるため両者の鑑別は重要である。