2026 年 37 巻 1 号 p. 120-126
乳癌既往のある61歳女性。約2年の経過で四肢左右非対称に運動感覚障害が増悪寛解した。右上肢を中心に筋萎縮を伴う筋力低下で発症し,線維束性収縮や深部腱反射低下等の診察所見と,電気生理検査における脱髄を示唆する所見からmultifocal CIDPと診断した。診断10ヵ月後から右上肢に鈍痛を自覚し,良好であったIVIgへの治療反応性が不良となった。超音波とMRIにて右頸部神経根から腋窩神経叢にかけて著明な腫大,FDG-PETで顕著な集積亢進を認め,生検の結果,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の合併と診断した。CIDP患者の癌潜在リスクは高く,CIDP治療への反応が不良になった際,疼痛を合併した際は神経リンパ腫症を念頭に置く必要がある。