日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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症例
Alpha-smooth muscle actin as an immunocytochemical marker of infarcted breast lesions
Shiho YAMAMOTOKiyomi TANIYAMATamaki TODAShoko ISHIMOTOAki MIMOTOToshinari NISHIMURAAkihisa SAITOKazuya KURAOKA
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2008 年 47 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

背景 : 乳腺疾患の穿刺吸引細胞診では, 壊死は悪性を疑う重要な所見である. しかし, 梗塞は良性病巣でしばしば起こるため, その場合に良悪性の鑑別が困難になる. 本稿では, 梗塞を生じた乳腺良性病巣の 2 例を報告する.
症例 : 35 歳と 82 歳の日本人女性が, それぞれ急速に増大する乳腺腫瘍に気づいた. 穿刺吸引細胞診では壊死組織が認められ, マンモグラフィー, 超音波や MRI 画像の所見を加えた検討から, それぞれ良性と悪性が疑われた. 病理組織学的検討の結果, 前者が著明な壊死を伴う乳管内乳頭腫, 後者が著明な壊死を伴う線維腺腫と診断された. 細胞転写法と免疫細胞 (組織) 化学的検索によって, 穿刺吸引細胞診とホルマリン固定パラフィン包埋された標本のいずれにおいても, 壊死組織の中で抗平滑筋アクチンの免疫活性が認められたが, カルポニンと S-100 蛋白の免疫活性は認められなかった.
結論 : 梗塞を起こした乳腺疾患での良悪性判定には, 抗平滑筋アクチンの免疫活性検索が有用である.

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© 2008 The Japanese Society of Clinical Cytology
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