2026 年 37 巻 1 号 p. 99-105
重症肘部管症候群に伴う手内筋麻痺の治療は困難である。今回われわれは,術前のWartenberg徴候が陽性で,術前に神経伝導検査が行われており,術後6ヵ月以上の経過観察が可能であった14例を対象として,尺骨神経前方移行術のみを行った群 (単独群,60±16歳,9例) と前骨間神経の端側吻合移行術 (SETS) を追加した群 (追加群,68±15歳,5例) を比較し,手内筋回復に対するSETSの効果を評価した。Wartenberg徴候は単独群の66%で消失したが,追加群では全例で残存し,追加群での第3掌側骨間筋の回復不良が示唆された。にもかかわらず,鍵つまみ力が有意に改善したのは追加群のみであった。この一見矛盾する結果には,端側吻合部レベルでの尺骨神経のtopographyが関係している可能性がある。