日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
ストーマ袋に使用されている脱臭フィルターの脱臭性とガス通過性の比較
松原 康美中 素子内藤 志穂品田 ひとみ
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2006 年 10 巻 2 号 p. 22-29

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抄録

 脱臭フィルター付きストーマ袋におけるオストメイトが望む脱臭フィルターの性能についての示唆を得ることを目的に、オストメイトへのインタビュー調査と製品別の脱臭性およびガス通過性について比較実験を行った。オストメイト55名の調査でストーマ袋使用中に臭いのもれが気になると答えた人は29.1%であり、臭いのもれが気になる要因として、脱臭フィルターからの臭いもれの有無、目詰まりの有無、術後経過年数、ストーマの種類について有意差がみられた。また、脱臭フィルターの目詰まりがあると答えた人は81.8%であった。そして、脱臭フィルターに満足していないと答えた人は83.6%であり、便の性状や使用期間にかかわらず、いつでも臭いがもれずにガスが抜けるという機能をあわせもつストーマ袋を望んでいた。
 5社5種類の製品比較における硫化水素およびメチルメルカプタンの脱臭性は、コロプラスト、コンバテック、ダンサック、ホリスターの4製品では、ほぼ同程度に維持され、ガス通過性は、コンバテック、アルケア、ホリスターおよびダンサック、コロプラストの順に優れていた。
 脱臭フィルターの主機能である脱臭性とガス通過性は、製品による差があり、双方の機能を同時に満たす製品はまだ数少ないことが明らかになった。

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© 2006 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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