日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
回腸ストーマ造設者の適応に関連する要因
田中 結華高見沢 恵美子
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2009 年 13 巻 2 号 p. 26-33

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抄録

 回腸ストーマ造設者のセルフケア自己効力感を適切に測定し、適応と適応に関連する要因を明らかにすることを目的とした。
 回腸ストーマ造設者のセルフケア自己効力感尺度の作成を行うために、20歳以上の回腸ストーマ造設者15名に半構成的面接を行った。内容分析の結果得た89コードおよびBekkersらの尺度をもとに専門家の検討を経て無記名自記式質問紙を作成した。
 ついで、セルフケア自己効力感尺度の信頼性・妥当性の検討、適応に関連する要因を検討するため、回腸ストーマ造設者152名を対象にオストメイト自己適応尺度、作成したセルフケア自己効力感尺度、自尊感情尺度、ソーシャルサポート尺度、STAIなどを内容とする質問紙調査を行い、138名から有効回答を得た。
 因子分析の結果、セルフケア自己効力感は「ストーマセルフケア自己効力感」、「社会生活セルフケア自己効力感」の2因子で構成され、信頼性と妥当性を確認した。また共分散構造分析の結果、適応に有意に関連する要因として、ストーマセルフケア自己効力感、社会生活セルフケア自己効力感、特性不安、状態不安、自尊感情、ソーシャルサポートの7因子から成るモデルが得られた。適応には社会生活セルフケア自己効力感が直接関連し、ストーマセルフケア自己効力感は間接的に関連していた。適応の促進には社会生活セルフケア自己効力感を高める看護介入が重要と考えられた。

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© 2009 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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