2009 年 13 巻 2 号 p. 17-25
目的:褥瘡発生率を1%未満を維持するためのデータと情報活用の視点を明らかにする。
対象:岐阜県内のA病院の褥瘡対策チーム(以下、チーム)。
方法:質的研究手法を用いて1998年4月~2006年3月のチーム会議録および活動分析報告書からデータと情報活用の視点を抽出し、カテゴリ化した。
結果:データと情報活用の視点は、①【褥瘡ケア上の問題点の明確化のための発生時に着目した正確なデータ収集と情報化】、②【発生部位、創の形状、予防ケア状況から分析した環境・ケア要因の抽出】、③【患者個々の環境・ケア要因の集積による院内の褥瘡対策上の問題点と課題の抽出】、④【病期と環境・ケア要因に基づく焦点化した課題の抽出と取り組み】、⑤【ワンデー調査による病期と各体圧分散寝具適応者数から体圧分散寝具の種類と数の整備】、⑥【PDCAサイクルに基づいた継続的改善活動とフィードバック】の6のカテゴリと1のサブカテゴリ『褥瘡ケアによる経済的効果を示した体圧分散寝具購入の交渉』に集約された。
結論:患者個々の適正なデータと情報をもとにPDCAサイクルを活用して患者個々、部署、院内全体の課題を明確にし質の改善を図るという視点で褥瘡発生率を1%未満に維持していた。