日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
短報
終末期がん患者における褥瘡の形態的特徴と経過および悪化要因
青木 和惠松井 優子北川 敦子須釜 淳子真田 弘美
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2014 年 17 巻 4 号 p. 294-303

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抄録

 目的:本研究の目的は、終末期がん患者において①どのような褥瘡が悪化するのか、②どのような経過をたどり褥瘡は悪化するのか、③悪化に影響する要因は何か、を明らかにすることである。
 方法:終末期がん患者19名の創状態変化を帰納的にカテゴリー化した。つぎに褥瘡を改善群と悪化群に分け、両群の影響要因を比較した。
 結果:1.終末期患者がん患者には創の中心が仙骨正中稜にない褥瘡(以下、偏位)が発生し、悪化群に有意に多かった(p=0.006)。2.褥瘡が悪化する経過には3タイプ(創縁炎症持続型、深度進行型、面積・深度進行型)があり、タイプに関係なく全員死亡退院した。3.悪化に影響する要因は、「腎機能障害(p=0.0006)」、「自力座位可(p=0.006)」、「歩行可(p=0.002)」であった。
 考察・結論:終末期がん患者に発生した褥瘡の悪化は、がんの進行に伴って起こり、防ぎきれないものがあると考える。一方、座位時、ベッドからの移動時に発生する外力はケアによって減少させることができ、悪化を回避できる可能性がある。

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© 2014 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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