日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
皮膚・排泄ケア認定看護師の病院における褥瘡ケアの質に対する主観的影響力と褥瘡の発生率からみた効果的な褥瘡対策
永野 みどり緒方 泰子徳永 恵子石久保 雪江石田 陽子
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2014 年 18 巻 3 号 p. 293-304

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抄録

 褥瘡対策体制における皮膚・排泄ケア認定看護師(以降WOCNと略す)の「病院全体の褥瘡ケアの質に対する主観的影響力」と「褥瘡発生率」に関連する褥瘡対策の構造的な要件や効果的な取り組みを明らかにする目的で、同意を得た425病院に対し、WOCNとその直属上司である看護管理者宛に、質問紙調査を実施した。回答の欠損が少ない200床以上の急性期病院166施設を分析対象とした。
 「WOCNの褥瘡ケアの質に対する主観的影響力」に関連する要件として、「WOCNの臨床経験が21年以上」であるというWOCNの個人属性が強く関連していた。「院長の部門間調整」や「認定看護管理者として認定されている看護管理者」「看護管理者のWOCNへの評価」といった管理者の関与に関連があり、その重要性が示唆された。「WOCNの情報発信力」で「褥瘡ケアの質に対する主観的影響力」が強まり、それにより病棟看護師の「医療関連機器圧迫創傷」や「褥瘡対策チームとの連携」の意識が高まると考えられた。
 「褥瘡発生率」に有意に関連する取り組みは、「WOCNの褥瘡保有死亡患者の把握」「WOCNの褥瘡のケア技術への自信」「地域の開業医との信頼関係」であった。「十分なWOCNの数」「病棟看護師の医療関連機器圧迫創傷への認識」「OT/PTの関与」も関連していた。
 WOCNの「病院全体の褥瘡ケアの質に対する主観的影響力」を成果指標とすることで、「褥瘡発生率」には反映できない部分の褥瘡対策の質が把握できると推察された。

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© 2014 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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