日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
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原著
脳血管疾患患者における尿道留置カテーテルから自排尿獲得に向けたケアプロトコールの開発と有用性
上山 真美小泉 美佐子
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2015 年 18 巻 4 号 p. 340-347

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抄録

 本研究の目的は、脳血管疾患患者における尿道留置カテーテルから自排尿獲得に向けたケアプロトコールを開発しその有用性を明らかにすることである。対象は脳神経疾患専門病院に入院し、カテーテルを7日以上留置され、病棟管理者より紹介のあった脳血管疾患患者とした。プロトコールは、第1段階が排尿障害のリスクアセスメントとカテーテル抜去の判断、第2段階がカテーテル抜去と抜去当日のケア、第3段階が自排尿再獲得に向けたケアからなる。尿排出障害のアセスメントは、携帯型超音波膀胱容量測定器等を使用し、1回排尿量・失禁量・残尿量・排尿時間等のモニタリングにより行った。評価は退院時の排尿方法と尿閉と排尿困難からなる尿排出障害の継続期間とし、カテーテル抜去日、1週後、4週後、自排尿獲得時に評価した。介入はプロトコールに従い、研究者と病棟看護師、主治医、専門医、理学療法士や作業療法士等の多職種で協働して実施した。結果、対象は男性11名、女性6名、平均年齢は68.3歳(標準偏差13.5)、カテーテルの留置期間は25.7±15.9日であった。本プロトコールを実施し自排尿を獲得できた患者は17名中13名で、再留置となった患者は4名であった。自排尿を獲得した13名のうちトイレまたは尿器での排尿が可能となったのは7名、おむつ内失禁が6名であった。以上より、プロトコールの有用性が示唆された。

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© 2015 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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