日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
創面ブロッティングを用いたtransforming growth factor β の分布に基づく上皮化の予測:パイロットスタディ
北村 言仲上 豪二朗峰松 健夫宮垣 朝光佐々木 早苗真田 弘美
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2016 年 20 巻 3 号 p. 341-348

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抄録

 褥瘡管理において、適切なアセスメントに基づく治療選択は不可欠である。本パイロット研究では、非侵襲的に創面のタンパク質を可視化する創傷アセスメント技術である創面ブロッティングにより創縁に検出されたtransforming growth factor β(TGF β)が上皮化の予測マーカーとなりうるかを検証した。包含基準は(1)創面ブロッティングで滲出液を採取されTGF βについて染色された褥瘡、(2)創面ブロッティング実施時にDESIGN-R でd2に該当した褥瘡、(3)創面ブロッティング実施1週間後にフォローアップされた褥瘡であった。創面ブロッティング時および1週間後の写真が欠損している創は除外した。創面にニトロセルロースメンブレンを貼付して滲出液を採取し、免疫染色にてTGF βを検出した。上皮化の評価は、創部の写真を用いて行った。1週間後に上皮化が進行した群と進行しなかった群で、創縁におけるTGF βが陽性である創の割合を比較した。また上皮化の進行部位と創縁のTGF βシグナル陽性部位が一致するか検証した。23サンプルが解析対象となった。上皮化の進行は20褥瘡で認め、そのうち15の創がTGF β陽性であった。創縁のTGF βシグナルは15個中9個の創で上皮化進行部位と一致した。創面ブロッティングによるTGF β分布解析は、上皮化予測の新たなアセスメントツールとなることが示唆された。

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© 2016 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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