糖尿病患者では、足関節背屈運動の関節可動域が低下することが報告されており、この機能障害は歩行時の足底圧を上昇させる足潰瘍発生因子である。ストレッチングは関節可動域の拡大を図る代表的な運動療法であり、下腿三頭筋に適用することによって足関節背屈の関節可動域を改善させることが健常者で報告されている。しかし、糖尿病患者に対する効果は明らかにされていない。本研究では、荷重下のストレッチングが糖尿病患者の足関節背屈可動域に与える影響を検討した。14 名の糖尿病患者を対象とし、足関節底屈筋群に対してストレッチングボードを用いて荷重下ストレッチングを20分間行い、介入前後に足関節背屈可動域を測定した。その結果、ストレッチングにより足関節背屈可動域が膝関節屈曲位および伸展位両方で有意に拡大した(p < 0.05)。本研究によって、下腿三頭筋に対する荷重下ストレッチングは、糖尿病患者の足関節背屈可動域制限に対する有効な介入手段であることが示された。