日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
日本における年齢群別ストーマ管理の自立の違いに関する横断的研究
安藤 嘉子土田 敏恵片岡 ひとみ酒井 透江松原 康美渡邉 光子三富 陽子藤井 誠木戸 倫子大野 ゆう子
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2019 年 23 巻 3 号 p. 305-317

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抄録

 背景:高齢化により高齢者へのストーマ造設手術が増加している。入院期間が短縮化するなかで高齢ストーマ保有者が入院中に技術を習得することは困難なことがある。
 目的:ストーマ保有者の年齢群とストーマ保有年数ごとにストーマ装具注文、排泄物処理、および装具注文の自立の実態を明確にすることである。
 方法:ストーマ装具交換、排泄物処理、装具注文におけるストーマ保有者の自立を問う自記式質問紙による横断的研究である。 2017年4月から2018年3月にストーマ保有者3000人に調査用紙を送付した。得られたデータはストーマ保有期間と年齢群についてχ2検定とCochran-Armitageの傾向検定を用いて分析した。
 結果:男性640人、女性436人を含む1,086人の参加者(36%)から回答が得られた。全体ではストーマ装具交換においては72%が自立していた。さらに、93%がストーマ装具からの排泄物処理ができていた。77%のストーマ保有者がストーマ装具の注文ができた。現在の年齢群で自立の割合をみると、高齢者では装具交換と装具注文の自立の割合が低く、排泄物処理ではほとんど同じ割合が示された。
 結語:高齢ストーマ保有者はストーマ保有時間が短い人でも排泄物処理は自立割合が高かった。入院中に排泄物処理の技術を習得することが生活の自立に重要である。また、装具交換や装具注文には長期的支援が重要である。

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