日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
透析患者におけるスキン-テアリスクスクリーニング ~視覚的評価の検証~
藤井 渚佐々木 茂樹
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2020 年 24 巻 3 号 p. 310-319

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抄録
 目的:スキン-テアの要因には透析歴、乾燥、医療用テープの貼付などがある。透析患者の多くは皮膚の乾燥を認め、すべてがスキン-テアのリスク患者と評価される。一方で皮膚の脆弱性を認めない患者も多く、簡便かつ精度の高い指標が必要である。視覚的評価および機器による評価を行い、スキン-テアの有無による皮膚特性の違いを明らかにする。
 方法:透析入院病床および外来透析患者を対象に横断研究を実施した。ベストプラクティススキン-テアよりリスクアセスメント項目を情報収集した。客観的評価として経皮水分蒸散量、皮膚粘弾性を測定した。視覚的評価はデジタルカメラにて撮影、盲検化し評価した。客観的計測値と視覚的評価の2群比較を行った。
 結果:保有群10名、非保有群30名、計40名を解析対象とした。斑状紫斑は保有群90%、非保有群6%(p<0.01)。弛みを伴う菲薄は保有群90%、非保有群30% (p<0.01)。CutometerR7(皮膚粘弾性の戻り率)は保有群0.16(0.06-0.34)、非保有群0.26(0.15-0.73)(p<0.01)。
 考察:保有群は粘弾性低下と斑状紫斑・弛みを伴う菲薄が併発し、発生機序の1つである光老化の粘弾性低下による脆弱化という既知の知見と合致した。
 結論:皮膚の粘弾性低下に伴う所見として、斑状紫斑・弛みを伴う菲薄は透析患者のスキン-テアリスクスクリーニングの指標になると考えられる。
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