抄録
ABCD-Stoma ® ケアを基盤に、情報通信技術による皮膚・排泄ケア認定看護師(以下、WOCN)への相談機能を付加した遠隔看護支援システム(以下、支援システム)が開発された。この支援システムを活用し、WOCN が不在の病院におけるストーマ保有患者のストーマ周囲皮膚障害の治癒率と費用対効果を検証した。
対象者は、WOCN 不在の4 病院に入院中のストーマ保有患者とした。支援システム使用前後の各3 ヵ月間で2 群に分け、対象者の概要、皮膚障害の重症度と転帰、スキンケアにかかった費用を比較した。さらに、費用効果比を算出した。
対象者は、支援システム使用前が12 名、使用後が7 名であった。使用前後で、対象者の背景には有意な差はなかった。調査開始時のABCD-Stoma ®の得点の中央値は、使用前後ともに2点であった。治癒率は使用前が16.7%、使用後が71.4%で使用後が有意に高く(p=0.045)、効果量は0.55であった。ケアに要した1人あたりの総額は使用前が10,804円、使用後が28,656 円であった。費用効果比は使用前が64,822 円、使用後が40,118 円と使用後が61.9%に低減した。支援システムの導入によりストーマ周囲皮膚障害の治癒率が向上し、費用効果比が低減した。