抄録
本研究では療養病床を有する一般病院のスキン-テア(以下、テア)の有病率、推定発生率ならびに保有者の実態を調査した。
A 県内の療養病床を有する一般病院において、調査日は任意に設定した1 日とした。テアの知識のある施設の調査担当者がテアを同定し、施設とテア保有者の情報を調査用紙に記入した。分析は、病床区分別、皮膚・排泄ケア認定看護師(以下、WOCN)在職の有無別で行った。
9施設より調査協力が得られ、全患者数は1,626名、一般病床390名、療養病床1,236名であった。テア保有者は16名で、有病率は0.98%であった。自施設内発生者は一般病床3名と療養病床10名の計13名で、推定発生率は0.80%であった。自施設内発生者はWOCN の在職施設は632 名中2 名、不在施設は994 名中11 名と、発生者はWOCN 在職施設のほうが少ない傾向を認めた(p = 0.081)。テアの発生場面は、WOCN 在職施設では患者自身の行動のみであったが、不在施設では患者自身の行動以外に医療者のケアがあった。
テアの予防ケアに精通したWOCNが在職することは、発生低減に貢献する可能性が示唆された。