日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
クローン病患者におけるイレオストミー術後の皮膚障害に関する検討
積 美保子伊藤 美智子
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ジャーナル 認証あり

1999 年 3 巻 1 号 p. 16-22

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抄録
クローン病でイレオストミーを受けた患者40人を対象とし、全身状態とストーマ周囲早期合併症について検討した。方法は排便重量と性状、血清総蛋白値、血清アルブミン値、ストーマ周囲皮膚障害の有無と程度を入院診療録と看護記録に基づき調査した。血清総蛋白値、血清アルブミン値は術直後に共に減少したが術後3週間目には改善した。イレオストミーの排便は、術後1日目より4日目までにみられ、水様性から泥状の便で、平均排便重量は術後1日目339gから術後2週間目1202gと増加を示した。ストーマ周囲皮膚障害の出現は26人に見られ、その原因は、便の付着によるビランが最も多く、61.5%であった。本調査ではストーマ周囲皮膚障害は術後早期に出現し、その原因は排泄物や装具の刺激であった。皮膚障害の出現と排便重量、血清総蛋白値、血清アルブミン値には相関関係は認められなかった。皮膚障害を予防するためには術直後から、排泄物の皮膚付着を防ぐ工夫や緩衝作用の高い皮膚保護剤の使用を行い、排泄物や皮膚の状態に合わせた装具交換を行うことが必要と示唆された。
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