2000 年 4 巻 2 号 p. 1-8
粘着テープの起源は、紀元前2000年頃の膏薬まで遡れるが、ずっと時代が下って18世紀に発明された生ゴム、樹脂類を主成分とするゴム系粘着剤は、その後発展し改良を加えられ現在に至っている。しかし、初期には粘着力を付与するため、多くの物質が加えられており、それらに起因するテープの皮膚かぶれが問題として指摘されていた。この解決策として、生ゴムに替わり合成ゴムを用いたり、より安全な樹脂や副原料を用いる等の努力がなされてきた。一方、化学合成により得られるアクリル系粘着剤は、それ自体で十分な粘着性を有するものを作ることができる。そのため、副原料の種類が少なく、粘着剤の材料に起因するかぶれは比較的少ない。今では、医療用粘着剤の主流となっている。さらに、テープかぶれを引き起こす主要因である透湿性についても、ゴム系粘着剤に較べ、透湿牲の遥かに高いものを得ることが可能であり、この面からも、医療用粘着剤として多用されている。
ビニールテープは、大半が工業用途として開発されており、種類も多く、多種多様な材料が用いられている。主要添加剤の一つは安全性の点で疑問をもたれている。また、一般にビニールテープは透湿性がほとんどなく、むれてかぶれることがある。
テープかぶれの主要因の一つである角質損傷は、テープの接着力が皮膚表層の角質層間強度より強すぎるために引き起こされる。この剥離による刺激は、多くの患者にとって痛みを伴うものであり、QOLの観点からも良い解決法が望まれていた。近年、凹凸のある皮膚にも馴染みやすく、密着性を高めた油性ゲル粘着剤が開発された。これを用いたテープ(優肌絆®)の剥離時の角質損傷が大幅に減少し、従来品と比較した結果、皮膚かぶれも大幅に低減することが確認されている。