2000 年 4 巻 2 号 p. 41-47
在宅療養における褥瘡ケアは介護者の協力が必須である。介護者が褥瘡について十分な正しい知識を習得することは、予防や治療を行う上で重要である。介護者に対して褥瘡の正しい基本的知識を普及することを目的とし、メディアを使用した視聴覚教育方法による集団教育を行い、アンケート調査によりその効果を検討した。対象は当院で訪問看護を受けている要介護者の介護者8名。教育内容は褥瘡の発生機序、予防に重点をおき、I~Ⅱ度の浅い褥瘡のケア方法、褥瘡に関連した物品の紹介とその使用方法などで基本的な知識の習得を目的とした。高齢者や非医療者にもわかりやすくするために、実際の症例のスライドやオリジナルのモデルを使用した講義と、ケア方法のデモンストレーションなどを中心に教育を実施し、最後には学習のフィードバックを行った。この集団教育直後と2ヶ月後に、介護者に対して集団教育後の褥瘡の理解度、介護者の意識、介護の実践での変化及び要介護者の状況などについてアンケート調査を行った。結果その理解度は高く、治療効果として87%の要介護者に予防、治癒、改善がみられた。介護者に対し集団教育をする事は在宅における要介護者の褥瘡予防、改善に有効であった。