2004 年 8 巻 2 号 p. 19-28
【目的】尿失禁を有する痴呆性高齢者を対象に、診断機器を用い排尿状況について評価し、エビデンスに基づいた尿失禁マネジメントを検討する。
【方法】おむつ感知センサー、Bladder Scanなどを用いて排尿調査を行い、認知機能にはHDS-R、痴呆の行動心理学的症候(BPSD)はDBDを測定用具として用いた。尿失禁と身体機能、痴呆症状などの項目と関連分析をし、AHRQの尿失禁ガイドライン(1996年)に従い評価する。
【結果】1)対象者は36名で、重度痴呆と複数の行動障害を伴っていた。2)「機能性尿失禁」は89.1%であり、夜間頻尿や多尿も有していた。3)尿失禁と重回帰係数が高かった項目は、「障害自立度」(β=.585)、次に「痴呆自立度」(β=.298)であった。
【結論】1)現行で用いられている「障害自立度」と「痴呆自立度」は、排尿管理方法を決定するうえで、優れた指標となり得る。2)「時間排尿誘導」は痴呆性高齢者の排尿ケアに適しているので、個別計画に活用することが望まれる。