日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総合論文
抗体作製を基盤とした肺癌の診断並びに予後予測マーカーの獲得
長塩 亮
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2017 年 2 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

肺癌の診断や予後予測に有用なバイオマーカーの獲得を目的として,培養細胞や癌組織を免疫源とするランダム免疫法により,肺癌だけでも約2000の単クローン性抗体を作製してきた.このランダム免疫法は合成ペプチドなどの精製抗原を用いた従来の抗体作製法とは異なり,疾患特異的な翻訳後修飾を受けたタンパク質に対する抗体の獲得も期待される.また,1回のランダム免疫法により,一度に数百種類のクローンが得られることからハイブリドーマのスクリーニング法を工夫することで,目的に応じた抗体群をまとめて獲得できる利点がある.実際にこのランダム免疫法で作製した単クローン性抗体を用いた検討により,肺癌の診断に有用な抗体が多数獲得されている.今後も鑑別診断や予後予測に有用なマーカーを探索する研究において,ランダム免疫法の有用性が期待される.

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© 2017 日本プロテオーム学会
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