日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総説
植物塩基性7Sグロブリンの機能―研究の現状と課題―
平野 久藤田 清貴
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2019 年 4 巻 1 号 p. 19-30

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抄録

ダイズ種子で見いだされた塩基性7Sグロブリン(Bg7S)は多種類の植物に普遍的に存在することが明らかになった.当初,このタンパク質は種子の主要貯蔵タンパク質であると考えていたが,その後の研究で,貯蔵タンパク質ではなく,ストレス応答性,抗菌性,ホルモン受容体様活性など多種類の機能を持ったタンパク質であることがわかった.マメ科植物とそれ以外の植物のBg7Sの間には,機能的な差異が見いだされた.マメ科以外の植物のBg7Sは病原微生物の細胞内への侵入を阻害する機能を持っていた.また,マメ科植物以外ではBg7Sに結合する活性を持ったペプチドであるレグインスリンがなかった.マメ科植物とそれ以外の植物のBg7Sは,相同タンパク質ではあるが,機能的に異なる方向に進化してきた可能性がある.一方,Bg7Sやレグインスリンには,血糖調節作用,血圧や血漿コレステロールの調節作用,がん細胞抗増殖作用など,ヒト,ラット,マウスに対する機能性があることが明らかになった.

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© 2019 日本プロテオーム学会
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