日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
総合論文
チロシン硫酸化研究から食品機能評価など農学分野へのプロテオミクスの応用
榊原 陽一
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2022 年 7 巻 2 号 p. 27-35

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抄録

翻訳後修飾としてのチロシン硫酸化はタンパク質の分泌のためのシグナルや活性調節機構として考えられている.我々は長年このチロシン硫酸化に関与する酵素Tyrosylprotein Sulfotransferaseを研究し,その立体構造を解明し基質タンパク質認識機構などに新たな知見を得た.宮崎県地域結集型共同研究事業において,「食の機能を中心としたがん予防基盤技術創出」に関わり,新規食品機能評価技術として,プロテオミクスによるバイオマーカーの探索と定量,情報科学的なニューラルネットワーク解析による機能性推定を組み合わせた革新的な技術を確立した.さらに,タンパク質の修飾と食品機能の関係に着目し,食品の抗酸化作用をタンパク質の酸化傷害レベルを指標に評価するという考えに着想し,タンパク質のカルボニル化やS-ニトロシル化などのレドックスバランスに関連したタンパク質修飾の解析法を開発した.ブランド豚肉,地鶏などの地域の食材のプロテオーム解析や成分分析にも貢献した.

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